仮想通貨バブルは続くのか――2018年、バブル崩壊がやってくる?

2017年の世界経済は好調に推移しました。

国際通貨基金(IMF)は、G20(世界経済の主要20カ国・地域)のすべてがプラス成長を達成すると予測しています。7年ぶりのことです。

金融緩和によって世界中にあふれたマネーは株式市場へも流れ込み、2017年、米国と日本の株価は大きく値を上げました。12月28日時点で、米国のダウ平均株価は年初から26%も上昇し、日経平均株価はこの1年間で19%(3650円)も上昇しました。

そして、債券や銅、アルミニウム、原油などの資源価格も上昇しました。資源価格の上昇は新興国経済にとっては追い風となります。

しかし、それら以上に大きく上昇したのがいわゆる仮想通貨(cryptocurrency)です。代表的な仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)は12月16日、年初から20倍近くにまで価格が上昇しました。異常なまでの値上がりです。

しかし、2017年12月22日、仮想通貨ビットコインの価格は1日で29%も下落しました。その後、価格は少し持ち直しています。

ビットコインをはじめとした仮想通貨の価格上昇は尋常な領域を超えています。さながらバブルの様相です。多くの金融関係者が、17世紀にオランダで起こったチューリップバブルの再来になるのではないかと警鐘を鳴らし始めています。

今回は、こうした仮想通貨の現状とそのバブル崩壊の可能性について検討していくことにしましょう。

非常に長い記事ですので、後半の「2018年初めも仮想通貨バブルは続くか」と「バブルはいつまでも続かない」、そして「まとめ」だけを読んで頂くのもいいかもしれません。時間と興味がある方は、その他の部分もじっくり読んで頂ければ幸いです。

仮想通貨とは?

仮想通貨とは、ネットを介してお金の支払いや送金ができ、現実の通貨(法定通貨)の代わりとなる「暗号通貨」のことです。法定通貨は国家や中央銀行が価値を保証していますが、仮想通貨では利用者が仮想通貨そのものを信用することによって、その価値が保証されるようになります。

仮想通貨はもともとネット上の支払いや送金に使うための支払い手段通貨であって、金融機関を介しての取引に比べて低コストで行えるのが特徴です。

仮想通貨による取引は、ネット上の第三者が承認することで成立し、「ブロックチェーン(分散型台帳)」と呼ばれる仕組みで、すべての取引データを暗号化し記録していきます。そして、そのデータを使用者間で共有化し、検証し合います。そうすることで、データ改ざんや不正取引を防ぎます。

そうした仮想通貨の中でも、最も有名なのがビットコイン(Bitcoin)です。ビットコインはネットの中だけでなく、街中の一部のお店でも支払い手段として使えるようになっています。

日本では、2017年4月に施行された改正資金決済法(「仮想通貨法」)によって仮想通貨は法定通貨に準ずる支払い手段として認定されました。そのため、仮想通貨を扱うお店が増えつつあります。

しかし、仮想通貨価格が急上昇したことで、利用時に支払う手数料(一定比率)も高額化してしまい、その使い勝手は決していいものとは言えません。

ビットコイン以外の仮想通貨がオルトコイン

2009年、ビットコインが発明されて以降、ブロックチェーン技術の利用が発展することでさまざまな仮想通貨が発明されてきました。ビットコイン以外のそうした仮想通貨のことを総称してオルトコイン(アルトコイン、altcoin)と呼びます。

オルトコイン(altcoin)という名称は、「alternative」と「coin」が合成されて作られたものですが、2017年12月25日現在で、世界にはおよそ1380種類のオルトコインがあると言われており、その数は日々増え続けています。

ビットコインが仮想通貨全体の4割強を占めるため、仮想通貨と言えばビットコインというイメージがありますが、その他の代表的な仮想通貨(オルトコイン)には、リップル(Ripple)、イーサリアム(Ethereum)、ライトコイン(Litecoin)、ダッシュ(Dash)、アイオータ(IOTA)、モナーコイン(モナコイン、MonaCoin)などがあります。

ビットコインと上位6種類のオルトコインだけで全体の8割を占め、あとは小規模な仮想通貨が1000種類以上もひしめいています。これら全仮想通貨の時価総額は現在、60兆円近くにも達しています。

仮想通貨価格の上昇の凄まじさ

ビットコインをはじめとした仮想通貨の価格上昇には、とにかく凄まじいものがあります。2017年後半に入ってから、新聞や雑誌、テレビなどでもその高騰ぶりが盛んに報じられるようになりました。

2017年の1年間で、仮想通貨全体では15倍を超える価格上昇を記録し、なかには100倍以上も上昇した通貨さえあります。

では、そうした仮想通貨の値上がりぶりがどれだけすごいものであったかを、代表的な仮想通貨の相場チャートを例にして、少しみていきましょう。

まず、最も有名なビットコインですが、2017年の相場チャートは以下の通りです。

2017年1月1日、ビットコイン価格は998.05ドルでしたが、12月16日には19,665.39ドルにまで上昇しました。年初からは19.7倍の上昇というすごいものでした。

ただ、その後は大きく価格は低下しており、12月31日現在で14,839.59ドルでした。それでも、2017年1年全体では14.8倍の上昇です。

また、イーサリアム(Ethereum)の2017年の相場チャートは以下の通りです。

イーサリアムは2015年7月に公開された仮想通貨で、取引情報だけではなく、使用者が独自に定義した契約(スマート・コントラクト)情報もブロックチェーン上に記録していけることを特徴としています。

2017年1月1日、イーサリアム価格は8.06ドルでしたが、12月19日には829.99ドルにまで上昇しました。約103倍という、とんでもない上昇ぶりです。しかし、12月31日には774.70ドルにまで下落しました。それでも年初からは96倍の上昇です。

そして、為替取引のプログラムであり、決済や送金のプラットフォームであるリップル(Ripple)の値動きをみてみましょう。2017年6月から12月までのリップルの相場チャートは以下の通りです。

リップルは他の仮想通貨とは異なり、海外送金などに介在することで低コスト化と高速化が実現できるブリッジ通貨です。リップルを通すことで、あらゆる通貨から金融機関を通す場合に比べ、より安くより速く両替ができます。

リップルの価格は2017年1月1日0.0064ドルだったものが、12月31日には2.28ドルにまで高騰しています。イーサリアムのさらに3倍以上の356倍という、信じられないような上昇度です。

リップルは他の仮想通貨と違って、12月後半に入っても下落することなく、投資家の注目を浴びるようになっていました。しかし、2018年に入ってからは、後述するように、価格の急落を経験するようになっています。

さらに、代表的な仮想通貨のひとつのライトコイン(Litecoin)の2017年の相場チャートをみると以下の通りです。

ライトコインは2011年10月に公開された仮想通貨で、ビットコインと同様にブロックチェーンによる台帳管理が特徴となっています。

2017年1月1日、ライトコイン価格は4.50ドルでしたが、12月18日には360.66ドルにまで高騰しました。80倍の上昇です。ただ、12月31日には237.57ドルにまで急落し、結局、年初からはおよそ52.8倍の上昇で終わりました。

そして、その他の代表的な仮想通貨ダッシュ(Dash、2014年1月公開)の2017年6月以降の値動きは以下の通りです。

2017年1月1日、ダッシュの価格は11.39ドルでしたが、12月20日には1,493.59ドルにまで高騰しました。

実に、131倍もの高騰です。ただ、ダッシュもそれ以降は価格が下落し、12月31日には1,082.02ドルになりました。それでも年初からは94.9倍もの上昇です。

また、IoT(Internet of Things)に特化したアイオータ(IOTA)の相場チャートは以下の通りです。

2017年1月14日、アイオータの価格は0.526ドルでしたが、12月19日には5.25ドルにまで上昇しました。9.9倍の上昇です。しかし、12月31日には3.81ドルにまで下落し、年初からはおよそ7倍の上昇で終わりました。

最後に、日本初の仮想通貨として2013年末に公開されたモナーコイン(MonaCoin)の相場チャートをみると、以下の通りです。

2017年1月1日、モナーコインの価格は2.8円でしたが、12月6日には2,040.0円にまで高騰しました。何と728.5倍もの超高騰です。ただ、図からもわかる通り、それ以降は次第に下落していき、12月31日には1,156.22円にまで急落しました。結局、年初からは412.9倍の上昇で終わりました

仮想通貨上昇は明らかにバブル状態

これまでみてきたように、2017年1年間の仮想通貨価格の上昇ぶりは尋常なものではありませんでした。

10倍を超える価格上昇は当たり前で、なかには数百倍を超える価格上昇を記録した仮想通貨さえありました。

最も代表的なビットコインを、たとえば1月1日に1万円分所有していたとすれば、年末には約14万8千円になった計算になります。イーサリアムであれば、1月1日に1万円分を所有していれば、年末には約96万円へと大きく価値が膨らんでいます。

また、リップルを1月1日に1万円分所有していたとしたら、12月31日には約356万円にまで価値が膨らんでいます。仮に年初に100万円分を所有していたとすれば、年末には3億5600万円となって、「億り人」の仲間入りということです。

本当に信じられないような価格上昇です。ただ、上に示した仮想通貨の相場チャートをみてわかるように、価格が急騰を始めているのは2017年の後半からであって、多くの仮想通貨では12月近くになって急騰し始めています。

仮想通貨価格が急上昇していく現実を多くの人が目の当たりする中で、仮想通貨の購入が一気に増大し、それがまたさらなる価格急騰に繋がっていったということでしょう。

ただ、先に挙げた大きな含み益は年初と年末を比較した数字ですので、仮想通貨価格が極めて安い2017年の前半から半ばまでに購入していた投資家だけが巨額の含み益を得たということです。

12月前後になって購入した投資家では、リップルの場合を除いて、せいぜい数倍の含み益が得られたにすぎないでしょう。12月後半からの価格下落の中で、含み損になった投資家もなかにはいるはずです。

いずれにせよ、仮想通貨価格の値上がりぶりは尋常なものではなく、仮想通貨はいまやバブル状態にあると多くの人が警鐘を鳴らすまでになっています。2017年末の仮想通貨価格の急騰ぶりと投資熱の高まりは、まさにバブルと呼ぶにふさわしいでしょう。

仮想通貨に対する規制強化議論の高まり バブル崩壊のきっかけか

仮想通貨に対しては、多くの国の政府と金融当局が次第に厳しい見方を示すようになり、規制の強化を議論し始めています。

2017年9月、欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁はオランダで起こったチューリップバブルを例に挙げながら、「ビットコインはチューリップのようなものだ」と厳しい見方を示しました。

「数日間で40%、50%上下するものに賭けたい人のための投機手段」であり「通貨ではない」と極めて辛辣です。

2017年12月には、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長、日本銀行の黒田東彦総裁、そしてオーストラリア準備銀行(中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁がそれぞれの記者会見の中で、揃ってビットコインが支払い手段として使われず、金融的投機の対象になっているという見方を示しました。

イエレン議長は、ビットコインについて「安定した価値の保存手段でも法的な通貨でもない。非常に投機的な資産だ」と指摘し、仮に「ビットコインの価格が急落しても、それによって大きな損失を受ける人は出るかもしれないが、金融安定を損なう本格的なリスクを生み出すところまではいかない」という見方も示しました。

同議長はたとえ仮想通貨バブルが崩壊しても、リーマンショックのような世界経済と金融システムに大きな混乱と悪影響を及ぼすほどの問題にはならないと考えています。

豪中銀のロウ総裁は、ビットコインを決済手段として使用しているのは「一般人より闇経済や不法な取引に関わる人たち」と指摘しました。仮想通貨には闇経済との関わりや課税逃れ、金融テロに使われる可能性などの懸念があり、多くの主要国において規制する動きが強まっています。

一方、エストニア、トルコ、ベラルーシなどでは独自の仮想通貨発行や税制優遇などで仮想通貨を後押しする動きもあります。

しかし、ロシアや英国も含めて多くの主要国が仮想通貨を規制する方向へと舵を切っており、仮想通貨への逆風は強まる一方です。

仮想通貨取引所の閉鎖と規制によるリスク

仮想通貨に対する規制の強化は議論だけに終わらず、すでに実際に行われてもいます。

2017年9月、中国金融当局は国内の仮想通貨取引所を当面閉鎖すると決めました。仮想通貨と人民元を交換する取引所が違法な資金洗浄や金融詐欺、資金の海外流出などに繋がっていると判断したからです。

この情報が伝わると、ビットコインは一時15%近くも急落しました。それにつられて、イーサリアムなどの仮想通貨価格も下落しました。一夜にして仮想通貨市場の25%の価値が失われたといいます。

その後、価格は上昇に転じましたが、政府や金融当局の規制が仮想通貨相場の大きな下落圧力となることが明確な形で示されました。ただし、当局の規制によってすべての仮想通貨価格が等しく下落するというわけではなく、種類によってはほとんど影響を受けない仮想通貨もあります(“Should you sell your Bitcoin for altcoins?”, Cryptocompare.com, December 19, 2017) 。

また、オーストラリアでは2017年12月、同国最大の仮想通貨取引所コインスポット(Coinspot)が顧客に対して、銀行口座からの豪ドルの預け入れがもはやできなくなると通知しました。取引所の閉鎖にまでは至りませんが、活動が制限される事態となりました。

これまで、銀行口座を通して手軽にかつ迅速に売買ができたことで、高額な手数料と高価格にもかかわらず人気を博してきたのですが、今後はそうしたことができなくなり、仮想通貨取引がやりにくくなりました。

オーストラリアでは金融当局だけでなく、伝統的な市中銀行が数年前から、将来のライバルとなる仮想通貨に対して厳しい見方をしてきており、その市中銀行が仮想通貨取引所との取引を制限し始めたことで、取引所が規制を受ける形になりました。

一方、日本では、2017年4月に施行された改正資金決済法によって、仮想通貨取引所は金融庁の認可を受ければ、法に基づいた活動ができるようになっています。ただ、価格急騰で利益を得た投資家の課税逃れや海外送金、マネーロンダリングなどの問題が起こることで、日本においても今後は、何らかの規制強化がなされる可能性があります。

ICOの全面禁止と規制によるリスク

ところで、中国の金融当局は仮想通貨取引所の閉鎖決定の前に、企業や団体が仮想通貨を発行して資金調達するICO(Initial Coin offering、イニシャル・コイン・オファリング)も全面禁止しました。

ICOは当局の許可のない資金調達だというのがその理由でした。

ICOとは、トークン(token)と呼ばれるデジタル権利書を株式と同じように発行し、その買い手から資金調達をするというものです。発行企業や団体はトークンを仮想通貨取引所に上場することを目指しますが、トークンには株式と違って議決権がありません。

トークンの買い手はビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で支払いをします。そのため、ICOが増えることは仮想通貨への需要を増やすことに繋がります。逆に言えば、ICOを禁止すれば、仮想通貨への需要は減り、価格は下落することになります。

このICOに関しては、中国に続いて韓国の金融当局も2017年9月、新規ICOの全面禁止を決定しました。投機的取引や詐欺行為によって投資家が損害を被る懸念があるというのがその理由でしたが、この当局の決定によってビットコインなどの仮想通貨価格は下落しました。

ICOを通じた資金調達は欧米や日本などで増大しており、米国では2017年11月は7億4000万ドルに達したといいます。米国では、ICOを利用する多くの企業が1.5億から2億ドルを調達しており、日本でも億を超える資金をICOによって調達する企業が増えています。なかには100億円以上の資金を調達した企業もあります。

しかし、ICOによる資金調達は株式による調達と異なり、コイン(トークン)販売による売り上げ収入としての扱いになりますので、法人税が課されて全額を使用できないというデメリットがあります。

とは言え、資金調達がより簡単かつより迅速にできるので、金融当局が規制を行わない限り、ICO利用が増大することは疑いありません。ただ、ICOには詐欺行為が多いと言われており、当局による何らかの規制強化が行われる可能性は高いでしょう。

現在、シンガポールやカナダなどにおいてもICO規制が強められていますが、今後、中国や韓国のようにICOを全面禁止したり、厳しい規制を課したりする国が増えていけば、仮想通貨の価格上昇にとっては逆風要因のひとつとなります。

ハッキングによるリスク

2017年12月初め、スロベニアの仮想通貨取引所「ナイスハッシュ」がハッキングを受け、6400万ドル相当のビットコインが盗まれたと発表しました。同国では、2015年1月にも仮想通貨取引所から約500万ドル相当のビットコインが盗まれるという事件がありました。

また、2017年12月19日、韓国では仮想通貨取引所「ユービット」の運営会社が破産手続きを開始しました。ハッキングを受けて、全資産の約17%、約18億円相当のビットコインが盗まれたことで経営破綻してしまいました。

同取引所は4月にもハッキングによって5億円強を盗まれており、韓国では6月に同国最大の取引所「ビットサム」が、そして9月には「コインイズ」がハッキングを受けていて、それらの事件は北朝鮮のハッカー集団による犯行ではないかと疑われています。

仮想通貨取引所へのハッキング(サイバー攻撃)はしばしば起こっており、盗難がもとで取引所の閉鎖にまで追い込まれる事例も少なくありません。取引所がハッキング被害に遭えば、自分の資産が一瞬にして失われたり、個人情報をネタにゆすられたりすることもあります。

ハッキングに対するセキュリティー強化が十分に行えない仮想通貨取引所に対しては、国や当局が取引所の閉鎖を命じるケースもありえ、それによって投資家の取引が制限を受けたり、不利益を被ったりする可能性があります。

いずれにせよ、取引所へのハッキング(サイバー攻撃)は仮想通貨取引をする上での大きなリスクのひとつです。

量子コンピューター開発によるリスク

セキュリティー問題については、量子力学を利用した画期的かつ超高速の量子コンピューターの開発というリスクもあります。

量子コンピューターとは、これまでのようにすべての情報を0か1かの数字に置き換えて1つずつ処理していくのではなく、量子特有の「状態の重ね合わせ」という現象を利用して複数の情報を並行処理するコンピューターのことです。

演算処理装置が4つある現在の通常のコンピューターだと4つの数字の処理しかできませんが、量子コンピューターであれば16個の数字の処理が同時に可能になります。米グーグルが2015年に発表した論文によると、その処理能力はスーパーコンピューターの1億倍にも達するということです。

こうした量子コンピューターが開発されると、計算速度の飛躍的高まりによって新薬開発、人工知能(AI)、自動運転などでは飛躍的進歩が期待できる一方、仮想通貨にとっては存立の危機に追い込まれる可能性が生まれます。

仮想通貨取引では、残高や取引内容が勝手に書き換えられないような仕組みにして、記録の正しさを担保し、信頼性を確保しています。その中で、偽造や改ざんができなくするために「公開鍵暗号」という技術を利用しています。「秘密鍵」と「公開鍵」という2種類の鍵を使って、複雑な計算式で鍵をつけています。

ところが、通常のコンピューターでは解読が難しいこの仮想通貨の鍵も、量子コンピューターを使えば簡単に解けてしまいます。そうなると、仮想通貨の安全性が確保できなくなるので、また新たに鍵として使用できる暗号を開発する必要が生じます。

実際問題としては、仮想通貨だけでなく、現在ネットで使用されているすべての暗号が解読される恐れが出てきます。量子コンピューターの開発は、ネット世界に大きなインパクトをもたらすことになります。

いずれにせよ、暗号技術により安全性が確保できなくなれば、現在のような仮想通貨は存立できない可能性があります。とは言え、それはもう少し先の話であり、2030年頃ではないかと言われています。

2018年初めも仮想通貨バブルは続くか

2017年、仮想通貨は異常なまでの値上がりを記録し、2018年1月初めの時点でも、価格が大きく下落する様子は窺えません。

では、2018年以降もバブルのような価格上昇が続いていくのでしょうか。

何度も触れていますが、2017年12月22日、ビットコインが1日で29%も下落しました。そのとき、いよいよ仮想通貨バブルが崩壊かと感じた人も少なくなかったことでしょう。

しかし、その後ビットコイン価格は大きく下落し続けることなく、2018年に入ると少しずつ上昇するようにもなっています。ただ、1月7日以降はまた大きく下落しています(下図参照)。

また、イーサリアムの最近1カ月の相場チャートをみると以下の通りです。

ビットコインと同様、2017年12月22日に価格が急落しましたが、その後は再び上昇傾向にあります。2018年に入ってからも値上りを続けています(1月10日現在)。

リップルは、2017年12月も価格が急落せず、その他の通貨とは違って上昇傾向を維持してきていたのですが、1月5日にやや下落し、翌日には持ち直しました。

ところが、下図からもわかる通り、8日以降リップルの価格は急落しています。

韓国のその売買価格データが統計から外れたことでリップルの時価総額が減少することになり、そのことを勘違いした投資家たちが売却を急いだことが、そのきっかけとなったようです。

ただ、リップル価格がこのまま暴落し続けるということは考えにくいのではないでしょうか。ある程度、価格が下落したのちに、再び上昇を始める可能性が高いのではないでしょうか。

ビットコインですが、1月2日には価格が少し下落したものの、3日以降は価格が少しずつ勢いを持って上昇する兆しをみせています。ただ、リップルの動きと同じく、1月7日からはやや大きく下落し、その後もわずかですが下がっています(1月10日現在)。

とは言え、ビットコイン価格が上昇していく時期がすでに終わったとはまだ言うことはできないでしょう。

下落する局面はありますが、上昇傾向を保ち続ける通貨が少なくないことをみても、仮想通貨市場には依然として世界中から投資資金が入り込んでいる様子が窺われます。一時的な価格下落はあるものの、すぐさま仮想通貨バルブが崩壊するとは言えないでしょう。

仮想通貨が値上がりし続けると多くの人が考え、購入し続ける限り、価格が下落することはありません。現在、ほとんどの人は仮想通貨を使用目的ではなく、投機目的で購入していると考えられ、ノーマルな状態とは決して言えないのも事実です。

仮想通貨はまだ発行上限に達しておらず(上限の存在が希少価値をもたらします)、発行余地は依然あり、その価値総額(2017年12月25日現在で約5300億ドル)も他の資産価値(金は約7兆ドル)に比べるとまだ低い状態です。

そのため、その価格はさらに上昇すると考える人がいるのも事実です。

しかし、仮想通貨取引によって大きな利益を得ることができたのは、2017年前半までの価格が極めて安い時期に所有していた人に限られており、値上がりが激しくなった同年後半以降に購入した人にとっては、それほど大きな含み益は得られなかったはずです。なかには損失を被った投資家もきっといることでしょう。

確かに、多くの仮想通貨は値上がり傾向が続いています。しかし、その勢いは落ち着いてきているように思われます。

とりあえず、2018年初めにおいて仮想通貨バブルの崩壊の兆しは見えていませんが、1年間を通して、これまでのような価格上昇が続いていくと考えるのはやはり危険なことでしょう。

仮想通貨バブルはいつまでも続かない

仮想通貨ライトコインの創始者であるチャーリー・リー(Charlie Lee)氏は、ライトコイン価格が2017年の1年間で50倍以上(最大で80倍)も上昇したことについて、「ライトコインは過剰評価されている」と語っています。

そして、リー氏はこう警告します。「新規投資者は、価格が90%以上下落することに対する備えがないなら、ライトコインに現在の価格で投資すべきではない」と。

氏のその警告を聞き入れたわけではないでしょうが、2017年12月中旬からライトコイン価格は下降傾向にあります。ただ、2018年に入ると、価格は少し上昇気味になり、1月7日以降はまた少し大きく下落しています。(下図参照)

リー氏が警告するように、現在の仮想通貨価格は過剰評価の水準にまで達していると言えるかもしれません。1年間で何十倍、何百倍にも達する価格上昇は、過剰評価されていると考えても差し支えないレベルのものでしょう。

ただ、その一方で仮想通貨価格は今後もさらに上昇していくと主張する人も存在します。ビットコインが3年後には50万ドルになるだろうという人や、2020年までに100万ドルになるだろうという人もいます(“Bitcoin Price – How high could Bitcoin prices go?”, Cryptocompare.com, December 3, 2017)。

そして、ビットコイン所有者に対して実施されたある聞き取り調査では、多くの所有者が少なくとも1年間はビットコインを売却せず所有し続け、大多数の所有者が約20万ドルになるまでは売却したり使用したりするつもりはないと回答したということです(前出“Should you sell your Bitcoin for altcoins?”)。

しかし、ビットコイン投資に対するリスクは明らかに高まっています。既述したように、世界の主要国の多くが仮想通貨に対する規制を強化しようとしています。

仮想通貨は投機の対象にすぎず、闇経済、課税逃れ、金融テロなどに使われる可能性もあるとして、2018年中にも国際会議で規制強化が議論されることになりそうです。価格急騰によって手に入れた利益に対しても、各国で税務当局の姿勢がより厳しくなりつつあります。

中国においては仮想通貨取引所が閉鎖され、ICOも禁止されました。韓国においても新規のICOが禁止されました。そして、その他の国でも仮想通貨取引やICOへの規制を強化する動きが強まっています。

こうした主要国での規制強化の動きが仮想通貨価格の下落に繋がることは、2017年の中国の事例をみても明らかであり、価格が突如として急落するリスクが常にあります。

2018年以降も、何らかの規制強化をきっかけとして仮想通貨価格の急落が起こる確率は高いと言えるでしょう。

また、ハッキングによるコインの盗難が原因となって破綻と閉鎖に追い込まれる取引所が出てくる可能性もあります。取引所が破たんすることで所有する資産が戻ってこないかもしれませんし、価格の下落により資産が減少するかもしれません。2018年もそうした事態がいつ起こっても不思議ではありません。

現在、金融緩和によって世界中でマネーがあふれています。そのことも現在の仮想通貨バブルの一因となっていると考えられますが、2018年には米国だけでなく、欧州でも金融引き締めの方向へと舵が切られそうです。こうした世界の金融の動きも仮想通貨市場への資金の流れに影響を与える可能性があるでしょう。

いずれにせよ、2017年のような仮想通貨価格の急騰は異例の事態であり、年末の12月22日の急落のような事態が2018年にも起こる可能性は高いと言えるでしょう。急上昇した価格が調整される日はいつ来てもおかしくない。そう常に覚悟しておくことが必要でしょう。

仮想通貨を世界に訓育することを目標とし、仮想通貨に関するさまざまな情報発信をしているCryptcompareでさえ、仮想通貨バブルの崩壊が起こる可能性を指摘しており、現在は投資するにはリスクが高すぎると警鐘を鳴らしています。バブルのような価格上昇はいつまでも続かない。そういうことです。

関連記事:仮想通貨バブルは今後も続くのか?仮想通貨市場が盛り上がっている本当の理由とは?

まとめ ビットコインバブル崩壊は数年以内に起きる

2017年1年間の、とりわけ年末の仮想通貨の急騰ぶりは驚異的なものでした。最大の仮想通貨ビットコインは一時、年初より20倍近くにまで価格が高騰しました。なかには、何百倍もの価格上昇を記録した仮想通貨さえあります。

しかし、さすがに高値警戒感が高まる中で12月22日、ビットコイン価格は29%も急落しました。投機マネーをつぎ込んだ投資家たちが、利益確定売りを急いだことがその大きな原因だったと言われています。

仮想通貨は金融機関を介した取引より、手数料を安くかつ迅速にできる支払い手段として使われるのが本来の機能であったはずですが、実際には通貨として使用されるよりも、投機の対象へとなっています。

そのことを、イエレン氏や黒田氏をはじめとした主要国の金融当局者や政府関係者もたびたび指摘しており、大きな懸念が示されるようになっています。

仮想通貨は闇経済やマネーロンダリングに使用される恐れがあり、金融テロに利用される可能性もあります。そのため、世界の主要国では仮想通貨に対する規制強化の議論がますます高まってきています。急激な価格上昇で得られた利益の課税逃れや海外送金も国家当局にとっては気になるところです。

今後は、ICOによる資金調達も含めて、仮想通貨の扱いとそれへの対し方が主要国で一層議論されるようになり、規制がより強化される方向へと動いていくことになるでしょう。規制強化は、その情報が伝わっただけで仮想通貨価格の下落をもたらし、場合によっては価格暴落のきっかけにもなるでしょう。

また、ハッキングによる仮想通貨取引所の経営破綻(閉鎖)や個人情報の漏えいリスクもあります。ハッキングを受けて、資産の一部が一瞬にして消えてしまうこともあれば、個人情報をネタにゆすられることもあります。

取引所のセキュリティー対策が十分に行えない場合には、当局によってその取引所は閉鎖へと追い込まれる可能性があります。ハッキングは仮想通貨取引が規制を受けるリスクを高めます。

そして、近い将来、量子コンピューターが登場することで暗号解読がたやすくできるようになり、仮想通貨で現在使用している暗号技術が無力化してしまうリスクがあります。改ざんできないという仮想通貨の信用性の根幹そのものが失われてしまうかもしれません。

ただ、この暗号無力化のリスクについては最近、情報通信研究機構が量子コンピューターでも解読困難な暗号技術を開発したように、新技術の導入によってそれが単なる杞憂に終わってしまう可能性もあります。

仮想通貨は支払い・決済手段として使用することにメリットがあり、なくてはならないものでしょう。しかし、仮想通貨で使用しているブロックチェーン技術を利用した送金システムを既存の伝統的な金融機関が実用化へと動いたり、また中央銀行が自国通貨をデジタル化して「仮想通貨」(法定デジタル通貨)を発行したりする動きもみられるようになっています。

ネットを通した送金については、スマホを通じた手数料無料の個人間送金サービスも生まれてきており、仮想通貨の支払い・決済手段としての役割は他の電子通貨、デジタル通貨によって代替されていく可能性があります。

仮想通貨の将来にはさまざまなリスクがあり、価格もすでにかなり高騰しています。仮想通貨取引で大きな利益を得ることができたのは価格が極めて安い時期に購入していた投資家たちに限られ、価格が大きく上昇した後に購入した投資家たちが得られる利益はより少ないものです。

投資家たちのなかには、2017年12月の価格急落によって損失を出した人もいるはずです。価格がすでに高騰していて、いつ急落するかもわからない現在の状況下では、仮想通貨に新たに投資するのにはかなりのリスクが伴います。

もちろんしばらくは暴落しない可能性もあります。しかし、賢明な策のひとつはCryptocompareも指摘するように、仮想通貨バブルは崩壊すると考え、バブルが消滅した後の調整された価格の下での投資を考えることです。

もちろん損失覚悟で、あえて投資するのであれば何の問題もありませんが(あくまでも自己責任です)、仮に仮想通貨に投資する場合には、単一の通貨だけに偏らず、さまざまな通貨に分散投資するのがより賢明な策です。

なぜなら、仮想通貨にはさまざまなものがあり、規制の影響の受け方もそれぞれに異なっており、価格の変動の仕方も一様ではないからです。仮想通貨投資での損失を少しでも少なくしたいのであれば、分散投資を行うのがより賢明なことです。

ただ、何度も繰り返しているように、仮想通貨価格はいつ暴落してもおかしくはありません。また、規制強化やハッキングなどのさまざまなリスクが常に伴います。高値の時に購入をすればその後に得られる含み益は限られ、含み損を抱える可能性さえありえます。

一部の人が言うように、もしかすると仮想通貨の価格はもっと上昇していく可能性があるのかもしれませんし、あるいはそうではないのかもしれません。仮想通貨の未来を正確に予測できる人は、残念ながらまだいないでしょう。

しかし、より確かなこととして言えるのは、仮想通貨には価格急落のリスクが常に伴い続けるということと、規制の強化や「ライバル」となるデジタル通貨の出現などで、このままの形で仮想通貨が発展していくことは次第に難しくなるだろうということです。

その将来は決してバラ色というわけではないでしょう。しかし、まったくの灰色と言ってしまうこともできないでしょう。

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